保険調剤薬剤師が身につけておくべき知識
疾患知識
アトピー性皮膚炎では、マスコミやアトピービジネスにより、誤った情報が行き渡っています。
ステロイド外用薬への過剰な警戒により、治療拒否やノンコンプライアンスになったりすることがあります。
薬剤師自身が正しい知識を身に付け、服薬指導を通して効果的な治療へ導きましょう。
そのためにはまず、皮膚の構造を知り、バリア機能や保湿因子を理解し、また湿疹や皮膚炎の発症メカニズム、湿疹三角形などの知識を深めましょう。
また、アトピー性皮膚炎の定義や原因、病態の特徴を押さえておきましょう。
一方乾癬は罹患率が1000人に1人ぐらい(0.1%~0.2%)と比較的珍しい疾患でありますが 近年増加傾向にあると言われています。
免疫の異常によって起こる慢性の経過をとる皮膚疾患で、人によって症状や発症する場所が異なり、適した治療方法もさまざまであります。
疾患の概念や病態の特徴などを理解しておきましょう。
治療知識
皮膚科領域において、皮膚外用薬は治療の主力になります。
油脂性軟膏、クリーム剤、ローション剤、ゲル化製剤など剤型の特徴や使い分けを熟知しておきましょう。
コンプライアンス向上などの目的で数種類の皮膚外用薬を混合する指示がある処方箋を扱うことは多々あります。
ステロイド外用薬などは本来、安定性や衛生面を考えると単独で使われるべきです。
しかし、効果のよいステロイド外用薬のみが使われ、保湿剤やビタミンD製剤のコンプライアンスが低下することも事実であります。
薬剤師としては、異なる剤型の混合ルールの基本を習得しておきましょう。
皮膚外用薬では塗布する部位で吸収量や効果に差が出ます。また塗り方によっても効果が変わってしまいます。
部位による吸収率の違いや、それぞれの薬剤で適した塗布方法を理解しておきましょう。また、1FTUについても理解しておきましょう。複数の皮膚外用薬の処方では塗る順番も大切です。
ステロイド外用薬では効果の強弱の目安として、ランク分けがされていますので、使用部位による適正なランクについて把握しておきましょう。
アトピー性皮膚炎の治療ではガイドラインがあり、症状の程度により、ステロイド外用薬のランクが示されており、内服薬での抗アレルギー薬やステロイド内服薬、免疫抑制剤などの併用についても示唆されているので理解しておきましょう。
ステロイドでは外用と内服(注射・点滴)での副作用の違いをよく理解しておき、患者様への対応ができるようにしておきましょう。
乾癬ではステロイド外用薬に加え、ビタミンD3外用薬が用いられます。
その作用機序や副作用を理解しておきましょう。また内服薬も併用されることあり、免疫抑制剤やビタミンA誘導体では副作用や相互作用が問題になることがあるので、把握しておきましょう。
最近、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬であるオテズラも発売されましたので、これについての作用機序や特徴、副作用も把握しておきましょう
服薬指導や経過モニタのポイント
アトピー性皮膚炎においては、ステロイド外用薬を定められた期間、しっかり塗布を続けることが大切です。寛解、増悪のサイクルのはやい患者様では中途半端に治療を自己中止してしまうことが多いです。ステロイド外用薬への過剰な恐怖心を払拭させて、しっかり治療を行うように指導しましょう。
塗布方法の指導も大切です。塗擦するのではなく、優しく撫ぜるように、また乗せるように塗布します。塗る量も指導しましょう。1FTUを理解できない患者様では塗ったあとの状態で説明しましょう。「塗布した患部にテッシュをつけると、へばりつかず、落ちない程度」の量で塗布するように指導しましょう。
保湿も大切です。特に寛解期では保湿剤による皮膚バリア機能の強化が重要です。
継続の大切さをよく理解してもらいましょう。
乾癬でも同様に治療継続が大切ですので、服薬指導を通して、治療継続をモニタしましょう。
免疫抑制剤やビタミンA誘導体を内服している場合、相互作用や副作用のモニタが大切です。
お薬手帳で併用薬を確認し、また副作用の症状が出てないかチェックしましょう。
生活習慣での指導も大切です。乾癬は気候変化やストレスで悪化することがありますで、注意を促しましょう。また食事内容や飲酒、喫煙でも悪化させることがあります。
カロリーの高い食事(肉類・脂肪分)や香辛料の摂り過ぎ、 酒やタバコを控えるように指導しましょう。
さらに、睡眠不足や不規則な生活が原因で症状が悪化することもあるので注意を促しましょう。
臨床問題にチャレンジ ~あなたは答えられますか?~
26歳女性。3歳の頃にアトピー性皮膚炎を発症。ひどくなった時だけ通院し、外用薬治療を行うものの、寛解、増悪を繰り返し、現在に至る。
特にステロイド外用薬の継続使用への不安が強い。
最近、仕事のストレスから症状が悪化にて受診。
既往歴、家族歴に特記すべきことはなし。
病状は全身に鱗屑を伴う紅斑がみられ、掻破痕を伴う。特に背部の鱗屑と掻破痕が強い。
3日間のステロイド全身投与と1週間のストロンゲストクラス(体幹部)とストロングクラス(顔)のステロイド外用薬塗布により状態は落ち着き、掻痒はかなり軽減した。
現在の処方は
Rp)セルテクト(30) 2T 分2 朝・夕食後
マイザー軟膏 20g 体幹部 1日2回
プロトピック軟膏 5g 顔 1日2回
リンデロンVGローション 20ml 頭皮 1日2回
ヒルドイドソフト軟膏 100g 全身 1日2回
以下の問いに答えてください。
問1 マイザー軟膏の継続への不安があり、治療継続に消極的になっている。
ストロイド外用薬と内服薬の副作用の違いを具体的に患者がわかるように説明してください。
問2 以前は顔にはストロングタイプの外用薬が使用されていが、現在はプロトピック軟膏が処方されている。
変更理由を2つ述べてください。
問3 この患者の今後の服薬指導および経過確認をどのように行っていくか、
具体的に答えてください。
問4 マイザー軟膏とヒルドイドソフト軟膏の塗布の順番を患者から質問されました。
医師から特に順番についての指示はありません。
一般的な塗布の順番とその理由を答えてください。
順番
理由
問5 搔破で出血する現象を皮膚の構造の変化で説明してください。
あなたはこの問題に答えられますか?
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