保険調剤薬剤師が身につけておくべき知識
疾患知識
本疾患はメジャーな疾患であり、高齢者、特に女性で罹患率が高くなります。
この疾患を理解する上で、欠かせないのが、骨のリモデリングであります。
破骨細胞と骨芽細胞の働きをよく理解しておきましょう。
本疾患では骨折が問題になります。骨折の起こりやすい場所を把握しておきましょう。
特に、錐体骨折と大腿骨近位部骨折は死亡リスクを増加させるといわれています。
診断は骨密度の測定により行われます。デキサ法や超音波法、MD法などがあり、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
また診断結果のYAM%の意味や骨粗鬆症の診断基準も覚えておきましょう。
治療知識
治療目標は以前は骨量の維持、増加でありましたが、数々の治療薬の登場により、現在の治療目標は「骨折の予防」へと変わってきました。つまり「骨折リスクの低減」が治療目標になっています。治療は食事療法、運動療法、薬物治療がありますが、中心になるのは骨折予防ができる薬物治療が中心となります。
現在骨粗鬆症で用いられる薬剤は
- カルシウム製剤
- エストロゲン(女性ホルモン)
- SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
- 活性型ビタミンD
- カルシトニン製剤
- ビスホスホネート製剤(BP剤)
- テリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤 PTH)
- RANKL阻害薬(デノスマブ)
- イビリフラボン
- ビタミンK2製剤(メナトロレノン)
- タンパク同化ステロイド
があります。
これらの作用機序、特徴、相互作用、副作用の知識を深め、臨床上での使い分けを理解しましょう。
服薬指導や経過モニタのポイント
本疾患の第一選択薬とも言われているBP剤は、起床時服用や服用後の30分以内の臥位禁止など注意事項が多く、薬剤師の服薬指導が有害事象回避につながります。
また顎骨壊死など歯科治療でのリスクもあり、注意喚起や他科受診のモニタが必要になります。
さらに非定型骨折を生じることもあるので、服用中のGERDなど有害事象と共に、モニタしていきましょう。
SERMもよく処方されますが、寝たきりなどでは服用禁忌になりますので、生活状況の把握も大切になります。
活性型ビタミンD製剤は単独服用において、リスクは少ないですが、過剰のカルシウム剤の摂取では高カルシウム血症の危険もあり、また酸化マグネシウムなどマグネシウム製剤との併用で、高マグネシウム血症リスクも高まりますので、併用薬やサプリメントなどの摂取がないかチェックしましょう。
テリパラチドはインスリンのように、自己注射です。保管や取り扱いなど服用指導が大切であります。
また、RANKL阻害薬は今のところ院内での投与になっていますので、調剤薬局で取り扱うことはありませんが、低カルシウム血症を予防するデノタスが院外で処方されることがあるので、一応の知識が必要です。
臨床問題にチャレンジ ~あなたは答えられますか?~
79歳女性。腰痛を主訴に整形外科に通院し、以下の薬剤が処方されている。
歩行等に問題はない。腰椎骨密度は治療前はYAM67%であったが、
1年後69%に改善があった。
腰痛はまだ時々起こるとのこと。
アレルギーや既往等に特記すべきことはない。
処方
ベネット(17.5) 1錠 1日1回 起床時(毎週火曜日服用) 4日分
ロキソニン(60) 1錠 疼痛時頓服 10回分
以下の問いに答えてください。
問1 本疾患及び患者について、誤っていうるものを2つ選んで番号に〇を付けてください。
1 高齢者につき、腸管からのカルシウム吸収が低下している可能性がある。
2 骨形成の低下が改善されて、骨密度が上がったと考えられる。
3 脊椎圧迫骨折や大腿骨の骨折などの骨折の危険性がある。
4 血清カルシウム濃度が上昇していると考えられる。
5 胃腸障害の危険性がある。
6 生体において、血清カルシウム濃度を制御しているものに、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、活性型ビタミンDなどがある。
7 この患者は骨粗鬆症である。
問2 この患者が家族と一緒に来局。処方箋を持参(上記と同じ処方内容)
お薬手帳を確認したところ、最近アリセプトが開始されている。
通常は独居のため服薬は本人自身で管理しているとのこと。
残薬を確認したが、よくわからないという。
薬剤師として行うべきことを2つ挙げてください。
あなたはこの問題に答えられますか?
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