薬剤師向け学術情報 [てんかん編]

薬剤師向け学術講座

保険調剤薬剤師が身につけておくべき知識

疾患知識

本疾患を理解する上で、欠かせないのが神経伝達のメカニズムです。
神経伝達では心臓や血管運動と同様に、ナトリウム、カリウム、カルシウムの陽イオンと陰イオンであるクロルイオンにより、脱分極、過分極、再分極をおこない、神経細胞内情報伝達を行っています。
さらに神経細胞間同士の伝達は、グルタミン酸やアセチルコリンなどの興奮性神経伝達物質と抑制性神経伝達物質であるGABAによりおこなわれ、これらの調和、例えるとアクセルとブレーキの調和により神経伝達が行われています。
本疾患ではこのアクセルとブレーキのバランスが崩れることで発症します。
したがって、神経伝達のメカニズムについても薬剤師がしっかりと理解しておく必要があります。
なぜならば、てんかんの治療薬はこの神経伝達のいずれかに作用して効果を現すからです。
 
てんかんでは生まれつき症状がある特発性と後天的に脳に損傷を生じて起こる症候性があり、
また脳全体の異常からの全般性発作と脳の一部の異常からの部分発作があり、特徴的な症状に違いがあります。更に体が大きく仰け反ったり、震えたりする症状から、ぱっと見、周囲からはよくわからないようなものや、一瞬の意識消失を起こすようなものまで、症状はバラエティーに富んでいます。
これらのてんかん発作は重篤度もさまざまであり、治療薬も異なってきますので、整理して認識しておく必要があります。

治療知識

全般発作の第一選択薬はバルプロ酸ナトリウム、部分発作ではカルバマゼピン、など従来の治療ガイドラインを理解しておきましょう。
また最近は新しい薬剤(第2世代)が次々と登場して、治療概念が変わりつつありますので、これらの傾向についても認識しておきましょう。
 

各薬剤の作用機序や特徴、使い分け、使用できる適応(単独投与ができない薬)などを理解しておく必要もあります。

服薬指導や経過モニタのポイント

本疾患の治療薬は比較的、副作用が問題になることがあり、モニタを行う必要があります。
また特発性では妊娠の問題もあり、妊婦、授乳婦服用不可や可能な薬剤を把握しておく必要もあり、若い女性ではこれらのチェックや指導も行いましょう。
 

本疾患の治療薬では肝機能や腎機能、アミラーゼなど膵炎のチェックなど生化学検査でのモニタと同時に、TDMも必要になる薬剤も多いですので、採血状況を把握しておきましょう。
症状が落ちついている(寛解期)でも長い年月の期間、服用を続ける必要がありますので、コンプライアンスのモニタ、アドヒアランスの向上を行っていきましょう。

臨床問題にチャレンジ ~あなたは答えられますか?~

24歳、女性。小児期に痙攣発作があり、治療を受けていたが、中学、高校と発作が起こらなかったことから、高校卒業の時に治療薬は中止、定期検診のみとなった。
地元の大学へ進学、自宅からの通学で、症状は安定していた。
就職して、1人暮らしとなり、夜勤や不規則な生活が続き、また職場でのストレスもあり、
発作を起こし、救急搬送された。
しばらく、仕事をしながら治療を続けていたが、退職して、自宅へ戻ってきた。
地元の病院を受診。担当医は退職してストレスが減り、自宅で規則正しい生活をすることで発作は落ち着くと考え、前医の処方を継続することにした。
  
  前医の処方
  Rp1  デパケンR(200) 4錠 1日2回 朝・夕食後
  Rp2   マイスタン錠(10) 3錠  1日3回 毎食後

  診断名:強直間代発作
  アレルギー、既往歴に特記すべきことは無し。
  併用薬は生理痛時にOTCのイブA錠を頓服。
  飲酒・喫煙なし。車の運転はよくする。

以下の問いに答えてください。
  
問1 強直間代発作とはどんな病気か、説明し下さい。

問2 Rp1、Rp2を継続するにあたり、経過を確認すべき項目を7つ以上(具体的に)挙げて下さい。
          
問3 その後1年間発作はなく、Rp1、Rp2で症状コントロール良好、副作用等のトラブルもなく経過良好であった。
私生活も順調で、半年後に結婚する予定になった。
すぐに挙児を希望していることから、担当医は処方変更を検討した。
薬局にラミクタールへの変更を相談されたが、妥当かどうか判断してください。
(理由も記載してください。)

また切り替えの方法について医師へ進言すべきことを述べてください。

判断:                                  

方法:                                  
  
問4 ラミクタールで特に注意すべき副作用を1つ挙げて下さい。

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