保険調剤薬剤師が身につけておくべき知識
疾患知識
本疾患は未だに不明な点も多いですが、脳黒質のドパミン神経細胞の変性・脱落により振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害などの運動症状や自律神経症状、精神症状を示す緩徐進行性の疾患であります。
まず本疾患の4大症状を理解しておきましょう。
振戦においては、本態性振戦との鑑別が必要です。安静時振戦、動作時振戦について整理しておきましょう。
症状の程度を表すのに、ホーエンヤール分類があります。介護認定や特定疾患医療費助成にも使われますので、理解しておきましょう。
治療知識
現時点では中脳黒質のドパミン神経死をはじめとした神経変性を抑制することのできる根治的な治療、すなわち神経保護治療はまだありません。
しかし、パーキンソン病の症状をコントロールする対症治療は薬物治療、手術治療、そのたの非薬物治療など多く有り、パーキンソン病治療はこれらの治療を組み合わせることで、患者のADLを改善、維持し、QOLや予後の改善を目指します。
薬物治療では昔からあるL-DOPAが今なお、エースです。このL-DOPAを中心に、代役であるドパミンアゴニストやL-DOPAの作用を引き立てるMAO阻害薬やCOMT阻害薬などの補助薬など最近ではバリエーションが豊富になってきました。
これら治療薬の作用機序、特徴、副作用の知識を深め、使い分けを理解しましょう。
また本疾患では過剰効果でのジスキネジアや効果低下であるウエアリングオフやオンオフなどがありますので、現象や機序を理解しておきましょう。
服薬指導や経過モニタのポイント
L-DOPAでは効果減弱でのウェアリングオフや副作用のジスキネジア、ジストニアや幻覚・妄想など長期L-DOPA症候群が出現することがありますので、モニタを行いましょう。
まれな副作用ですが、悪性症候群への注意も必要です。。
急な中断時に発症しやすいので、服用継続の重要性、中断の危険性を指導しましょう。
早期発見、早期治療が重要であるため、パーキンソン病患者が発熱をおこした場合、受診するように促しましょう。
高タンパク食はL-DOPAの吸収を阻害しますので、食事に注意をするよう指導しましょう。
またビタミンB6の摂取も吸収を低下させるのでサプリメントなどの服用に注意しましょう。
併用薬ではPPIやH2ブロッカーなど胃酸分泌抑制作用を有する薬剤ではL-DOPA吸収を低下させるので注意しましょう。
ドパミンアゴニストでは、麦角系は心疾患や吐き気、非麦角系は眠気への注意を促しましょう。
MAO阻害薬ではセレギリンは覚せい剤原料に該当しますで、取り扱いに注意しましょう。
またMAO阻害薬は服用禁忌や併用禁忌も多いので投薬の際は、添付文書を確認するなど注意をしましょう。
臨床問題にチャレンジ
73歳男性。67歳の時に右手の振戦を発症。近医でパーキンソン病といわれ
ネオドパストン(100) 3錠
アーテン(2) 3錠 1日3回 毎食後
にて治療を行い、症状は軽減した。
以前は1日中薬が効いていたが、最近薬の効果が短くなり、次の服用まで症状を抑えることができなくなり、K医院に紹介された。
薬が効いているときはホーエンヤールⅡ、切れるとホーエンヤールⅢレベルと診断された。
以下の問いに答えてください。
問1 ネオドパストン、アーテンはどのような薬か簡単に答えてください。
ネオドパトスン:
アーテン:
問2 薬が効かなくなった原因はなにか推察してください。
問3 ホーエンヤールⅡ、Ⅲはどんな状態か説明してください。
問4 K医院では継続処方にカバサール(0.25)とナウゼリン(10)が追加になった。
カバサールは麦角系のドパミンアゴニストであるが、麦角系と非麦角系のドパミンアゴニストの違いを簡単に説明してください。
またナウゼリンは制吐剤であるが、併用の理由を答えてください。
違い
理由
問5 カバサールの追加が奏功し、しばらく症状はコントロールされていたが、明け方に足がかたくなり、痛むことしばしば起こるようになった。
原因として何が考えられますか、答えてください。
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